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◇「イスラエルは何を望むのか」
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    ナブルス通信の転送です。

            **以下、転送を歓迎します**   

          ○○○ナブルス通信 2006.8.19号○○○
             ──停戦は発効したが…──
            http://www.onweb.to/palestine/
             Information on Palestine
    ────────────────────────────────
    ◇contents◇ 

    ◇「イスラエルは何を望むのか」  イラン・パペ

    ────────────────────────────────
    >◇「イスラエルは何を望むのか」

    停戦は14日に発効しました。イスラエル軍はレバノン南部から、ゆっ
    くりと兵を引き上げているようです。しかし、この停戦がどこまで持つ
    のかというと、それを危ぶむ声のほうが大きく聞こえてきます。「もし
    停戦が崩れた場合、恐らくそうなる見込みだが、イスラエル、アメリカ
    共に、この現状を脱するためのいかなる計画も有していないように見え
    る。」(ロバート・フィスク、インディペンデント特派員、8月14日付
    ※より)

    この停戦のちょうど1ヶ月前、イスラエルのレバノン攻撃開始から2日
    目にイスラエルのハイファ大で教鞭をとり、シオニズムに異議を唱えて
    きた数少ない歴史家であるイラン・パペ教授が書いた文章を送ります。
    今のところ、パペ氏が危惧したほどひどい展開にはなっていませんが、
    しかし、安心しきれない状態です。また、ガザは封鎖されたなか、兵糧
    攻めに近い状態で攻撃を相変わらず受けていることも忘れてはいけない
    でしょう。[ナブルス通信]


    「イスラエルは何を望むのか」
    イラン・パペ
    2006年7月14日

    What Does Israel Want?
    Ilan Pappe, The Electronic Intifada, 14 July 2006


     軍の高官たちが、何年も何年も、第三次世界大戦のシナリオをシュミ
     レーションしているところを想像してみてください。コンピュータ化
     された作戦本部でぬくぬくと、大規模な軍事力を手に,最新鋭の武器
     を思う存分に駆使し,机上演習を心行くまでやっているところを。


     ところが、第三次世界大戦はとりやめになり、いくつか、近くのスラム
     をなだめたり,貧困に喘ぐ住宅地で増加する犯罪に対処するために、
     これまでの経験を活かしてくれ,そう言われたところを想像してくだ
     さい。さらに──私の空想の危機の最終幕ですが──社会的不平等や
     貧困、長年の差別の生み出したストリートにおける暴力に対し、これ
     まで練り上げてきた計画が意味がなく、武器も役に立たないことがわ
     かったときのことを想像してください。軍の高官たちは失敗を認める
     か、それでもやはり、自分の自由にできる巨大な破壊力を持つ兵器を
     使うか、どちらかを選択することになります。私たちが目にするの
     は,イスラエル軍の高官たちが後者を選択したため、生み出された惨
     事の極みなのです。
     
     私はイスラエルの大学で25年間教えてきました。学生のなかには、
     軍の高官も何人かいました。1987年の第1次インティファーダの発
     生以来、彼らのあいだには欲求不満が募っていくのがわかりました。
     アメリカ式の国際関係学では婉曲的に「低烈度紛争/低強度紛争」と
     呼ばれるこの種の衝突が、彼らには耐えられなかったのです。軽すぎ
     て、口に合わないのです。軍は、長いあいだ、アメリカの税金で、最
     新鋭、最も洗練された巨大な軍備を蓄積していましたが、戦場や交戦
     で実戦能力を試す機会は全くありませんでした。そして,やっと実戦
     の機会がきたと思えば、手にする兵器がほとんど要らないような、投
     石や火炎瓶などの原始的な武器相手だったのです。戦車やF-16戦闘
     機を動員してはみたものの、自分たちがマトカル(イスラエル大本
     営)でやった模擬戦とはほど違いのものだったのでした。
     
     第1次インティファーダは鎮圧されたものの、パレスチナ人の占領終
     結を求める行動はやみませんでした。2000年になると、より宗教的
     なリーダーたちや活動家の影響のもとで、パレスチナ人は再び蜂起し
     ました。しかし、それはまだ低烈度紛争であり、それ以外の何もので
     もありませんでした。軍にとっては期待はずれでした。軍は「ほんも
     のの」戦争をやりたくてうずうずしていたのです。イスラエル軍に近
     いイスラエル人ジャーナリスト、ラビブ・ドゥルーカーとオフェー
     ル・シェラーの2人による近刊『Boomerang(ブーメラン)』によ
     れば(50ページ)、第2次インティファーダが始まる前,軍事演習の
     ほとんどは全面戦争を想定したシナリオに基づいて行われました。こ
     の次、パレスチナ人が反乱した時、占領地での「暴動」は3日もする
     と、近隣のアラブ諸国(特にシリア)との全面衝突に発展するだろう
     と予想されていたのです。イスラエルの[軍事的]抑止力を維持し、
     通常兵器による戦争遂行能力を軍のリーダーが確信するためにも、そ
     のような衝突が不可欠である,そう思われていたのです。
     
     演習では3日のはずが6年になってしまい、欲求不満は耐えがたく
     なっていました。にもかかわらず、イスラエル軍の戦闘に関する基本
     的な考え方は、今日でも「衝撃と畏怖」[*1]に根ざすもので,狙撃手
     や自爆犯、政治活動家を追うことではありません。「低烈度/低強
     度」戦争は、無敵を誇る軍の能力に疑問を差し挟むだけでなく,「ほ
     んものの」の戦争の遂行能力を侵食するからです。もっと重要なこと
     は、そんなことをすれば、パレスチナの土地を非アラブ化し、イスラ
     エルの手におさめようとする構想を、一方的に押しつけられなくなる
     からです。シリアとレバノンのヒズボラをのぞき,ほとんどのアラブ
     諸国は現状に満足し,力もないので,イスラエルが自らの政策を続行
     するのを容認しています。イスラエルが単独主義を成功させるために
     は,シリアとレバノンを無力化しなければならないのです。
     
     2000年10月、第2次インティファーダが始まって以来,軍は1,000
     キロ爆弾をガザの家屋に落としたり,2002年の「防衛の盾」作戦の
     時には、ジェニンの難民キャンプをブルドーザーで押し壊し,欲求不
     満のいくらかのはけ口を見つけてきました。しかし、これも中東最強
     の軍隊の能力からすれば、赤子の腕をひねるようなものです。第2次
     インティファーダでパレスチナ人が選択した抵抗の方法─自爆攻撃─
     は、極悪非道のように言われますが、パレスチナ人の人間的、経済
     的、社会的なインフラをことごとく破壊し、集団に対する懲罰を加え
     るためには,F-16戦闘機が2、3機と戦車が数台あれば事足りてし
     まいます。
     
     私は、これらの軍人たちについて、普通に知られる限りのことは知り
     及んでいます。先週は、まさにやりたい放題でした。1キロ爆弾や戦
     艦、ヘリコプターや大型火砲は、時々使われるものではなくなりまし
     た。弱くて取るに足らない新国防相のアミール・ペレツは、ガザの破
     壊やレバノンの粉砕を求める軍の要求を躊躇することなく、受け入れ
     ました。しかし、それでもまだ、足らないかもしれません。あわれな
     シリア軍との全面的な衝突へと悪化することも考えられ、かつての私
     の学生たちは、その実現に向け,挑発的な動きを押し進めるかもしれ
     ません。そして、もし、イスラエルの新聞が言うことを信ずるなら、
     それは圧倒的なアメリカの傘に後押しされ,イランとの長距離戦争に
     拡大するかもしれません。
     
     これからとりうる行動について、軍がエフード・オルメルト政権に
     行った提案をマスコミは報道していますが,最も政府よりのマスコミ
     の報道からですら,イスラエルの軍人を熱狂させているものが見て取
     れます。レバノン、シリアとテヘランの徹底的な壊滅、です。
     
     トップの政治家は、これに比べて,まだおとなしい方です。政治家た
     ちは「高烈度紛争」を求める軍の渇望を、これまで十分に満たしてき
     ませんでした。しかし、彼らの日常的な政治観は、軍の宣伝と論理に
     よって染められています。そうでなければ、もともと知的な人物であ
     る外務大臣のツィピ・リヴニが、今夜(2006年7月13日)、イスラ
     エルのテレビで、2人の捕虜兵士を奪還するため、最善の方法は「ベ
     イルートの国際空港を徹底的に破壊する」ことだなどと本気で言うは
     ずがありません。もちろん、2人を捕虜にする者たち,または武装グ
     ループは、すぐさま、国際空港にでかけ、捕虜と自分たちの座席を次
     のフライトに確保したことでしょう。「しかし、彼らは車で逃亡する
     ことができますよね」とインタビュアー。「そのとおり」とイスラエ
     ルの外相は答えました。「だから、我々はレバノンから国外につなが
     る道路をすべて破壊するのです」。空港を破壊し、ガソリンタンクに
     火をつけ、橋を爆破して、道路を破壊し、民間人を巻き添えにでき
     る、これは軍にとって吉報です。最強で最大の破壊力を持つイスラエ
     ル空軍は、「低烈度紛争」でナブルスやヘブロンのストリートに少年
     や少女を追いかけることで、たまりにたまった鬱憤をはらし,「真
     の」実力を示すことができるのです。空軍がガザでそのような攻撃を
     行ったのは、これまでの6年間にたった一度[*2]でしたが,ここ数週
     で,すでに5度、そういう攻撃を行っています。
     
     しかし、これでもまだ、将軍たちには十分ではありません。将軍たち
     は、すでにテレビで「我々,ここイスラエルに暮らすものは、ダマス
     カスとテヘランを忘れてはならない」とはっきり言っています。将軍
     たちは、私たちに忘れてはならないというものの,この訴えの意味す
     るところは,過去の経験からわたしたちには明らかです。
     
     ガザとレバノンで捕虜になっている兵士たちは、すでに重要事項では
     なくなっています。これを機会にヒズボラとハマスを完膚なきまでに
     粉砕することができれば,捕虜を奪還することはもうどうでもよいの
     です。1982年の夏にも、イスラエル国民は、似たような形で,ベギ
     ン政権がレバノン侵略の口実にした犠牲者のことも全く忘れてしまい
     ました。犠牲者の名前はシュロモ・アラゴヴ、パレスチナ人の分派グ
     ループ[*3]により、命を狙われたロンドン駐在大使です。アリエル・
     シャロンはアラゴヴへの攻撃をレバノン侵略の口実にし,18年間も
     駐留したのです。
     
     紛争解決の別な道筋を求める声は,イスラエル国内で聞かれることは
     なく,シオニスト左翼からさえもあがりません。捕虜交換だとか、す
     くなくとも長期の停戦について、ハマスなどのパレスチナ人グループ
     との対話を始め、将来、より有意義な政治折衝を行うための地ならし
     をする、そういった常識的な策を求める声はどこからもあがりませ
     ん。このような別な道筋はアラブ諸国すべての支持を受けています
     が、残念なことに,支持するのはアラブ諸国だけです。ワシントンの
     ドナルド・ラムズフェルドは、何人か,省内の腹心の部下を失ったか
     もしれませんが、いまだに国防長官であることに変わりはありませ
     ん。ラムズフェルドにとって、ハマスとヒズボラの壊滅は──それが
     どれだけ高くつこうが、アメリカ人の犠牲をともなわない限り──
     2001年初めに発表した第三世界説の正しさを「証明」する存在理由
     になるからです。現在起きている危機は、ラムズフェルドにとり、ミ
     ニ悪の枢軸との正義の戦いであり、イラクの泥沼から離れ、「対テロ
     戦」において、これまで達成できなかった目的──シリアとイラン─
     ─への前哨戦なのです。
     
     もし、ある意味、イラクでは帝国が傀儡を助けているとしたら,イス
     ラエルのガザとレバノンにおける攻勢にブッシュ大統領が全面的な支
     持を与えたことは、借りを返す時間が来たことを示しているのかもし
     れないのです。苦境に立つ帝国を、今度は傀儡が救出する番だと。
     
     ヒズボラは、イスラエルが占領し続ける南レバノン地域の一片の土地
     の返還を要求しています。ヒズボラは、国内の政治においても主要な
     役割を果たすことを望んでおり、イランとパレスチナにおける闘い全
     般、そして、特にイスラーム[教徒]の闘争に思想的な連帯を示して
     います。この3つの目的は必ずしもそれぞれを補完しあうとは限ら
     ず,この6年間、イスラエルに対しては、非常に限られたる戦争行動
     しかしてきませんでした。イスラエルのレバノン国境付近における観
     光業の完全な復活は、ヒズボラはイスラエル軍の将軍たち
     とは異なり,自らの事情で、紛争が低烈度にとどまることに満足して
     いることをまざまざと証明しています。もしパレスチナ問題の包括的
     な解決が達成されれば、その問題から生ずる衝動もなくなってしまう
     のです。イスラエル領に100ヤード踏み込むというのは、そういう行
     動の一つです。そんなとるに足らない行動に対し,総力戦による徹底
     的な破壊で報復することは、イスラエルにとっては口実ではどうでも
     よく,肝心なのは自身の壮大な計画であることを示しています。
     
     これは何も新しいことではありません。1948年に、国連が祖国の半
     分[*4]をもぎ取り、ほとんどは1945年以後にやってきた新参者と移
     民たちに与える取引を強要したとき、パレスチナ人が選択したのは,
     まさしく低烈度の紛争でした。その機会が訪れるのをずっと待ち続け
     たシオニストの指導者たちは,民族浄化を開始し、そこに暮らしてい
     た人間の半分を追いやり,村の半数を破壊し[*5]、植民地主義の終焉
     ですでにかげりの見えていた西側とのあいだの不必要な争いに、アラ
     ブ世界を引きずり込みました。[現在のレバノン攻撃と48年のパレ
     スチナ人追放の]2つのことは相互につながっており、イスラエルの
     軍事力が増大すればするほど、パレスチナの非アラブ化の徹底とい
     う、1948年にやり残した仕事を終わらせるのが楽になります。
     
     おぞましい現実を新たに作り出そうとするイスラエルの企図はまだ,
     阻むことができます。しかし、その可能性はとても小さく,世界は手
     遅れになる前に、行動を起こさなければなりません。


    -------------------------------------------------------------
    原文:http://electronicintifada.net/v2/article5003.shtml
    翻訳:リック・タナカ

    [編集者註]
    *1……「衝撃と畏怖」(shock and awe)は、米国がイラク侵攻時に
    使った作戦名。

    *2……「6年間にたった一度」は1トン(1000キロ)爆弾を使った回
    数だと思われる

    *3……アラファト率いるPLOと敵対する立場にあった「アブニダル・グ
    ループ」がイスラエル駐英大使を襲った。その直後から、イスラエル軍
    はベイルートのPLO本部周辺への空爆を開始し、後に侵攻した。アリエ
    ル・シャロンは当時の国防大臣。イスラエルがレバノンより完全撤退し
    たのは2000年。

    *4……1947年の国連分割決議案のこと。約55%の土地がユダヤ人の
    国家に、45%がアラブ人の国家になるはずだった。

    *5……その結果、歴史的パレスチナの約78%がイスラエルとなった。
    破壊された村は400以上に及び、100万人近い人々が土地を追われて難
    民となった。

    ※ashさん訳「8月14日(月)『午前6時停戦発効…真の戦争が始まる』」
    http://heartland.geocities.jp/readingfisk06/textbn/140806.html

    ────────────────────────────────
    >◇この文章は以下にアップ 
    http://www.onweb.to/palestine/siryo/pappe-what14jul06.html

    ────────────────────────────────
    >◇P-navi info 
    [ボチボチ更新中。編集者ビーのblog。速報、インフォ、コラム]

    ・レバノンの蔭で隠されているガザ
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608140845.htm

    ・イスラエル人 壁抗議行動で重体に ラバーコート弾に撃たれる
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608140628.htm

    ・「レバノンへの緊急募金のお願い」パレスチナの子供の里親運動より
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608112132.htm

    ・レバノンでの人道援助状況
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608110427.htm

    ・ラファでさらに子どもたちが殺された
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608090459.htm

    ・自動車で動くと爆撃される レバノン南部
    http://0000000000.net/p-navi/info/column/200608090241.htm

    ・声明「戦争犯罪とレバノン」 ロイ、チョムスキー、ほかによる
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608082358.htm

    ・[Photo] 世界中での米国・イスラエルへの抗議
    http://0000000000.net/p-navi/info/news/200608080343.htm

    ・「代償を払うのは貧しき人ばかり」 イスラエルでの反戦ラリー
    http://0000000000.net/p-navi/info/column/200608080300.htm

    などなど
    ────────────────────────────────
    posted by: peaceyukichan | - | 05:53 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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