−弱者は死ねと言わんばかりだ。医療改革の非情− 転送 −
小泉医療改革の実態
「リハビリ患者見殺しは酷(むご)い」−弱者は死ねと言わんばかりだ。医療改革の非情−
多田富雄(免疫学者、東大名誉教授)
あなたが癌に罹って抗癌剤注射を受けているところに、突然抗癌剤は150日間で打ち切ると宣告されたならどう思うであろうか。
あるいは、慢性の腎障害で人工透析を受けているところに、透析療法は180日までと告げられたら怒らないだろうか。
そんなことは考えられないと思うだろうが、それと同じようなことが、リハビリ医療では今堂々とまかり通ろうとしているのである。
2006年4月の厚生労働省による保険診療報酬改定によれば、疾患によって少し異なるものの、障害を持った患者のリハビリが、一部の例外を除き、
最長でも180日(6カ月)で打ち切りにされるというのである。
勿論、増大する医療費を削減するのが目的だが、それ以上リハビリを続けても、効果が明らかでないからという理由が挙げられている。患者や障害者側の実態を無視し、また心ある医師や療法士の意見も十分に聞かずに、このような一方的通達があったのである。
この突然の変更に、現場は混乱に陥り、理学療法士でさえ患者の処遇に迷う状態であった。患者は不安におびえ、すでに泣く泣く治療を断念したものもあったからだ。
私が告げられたのも、3月も末になってからだ。その時点では、患者はどうしようもない。以前から医師には知らされていたとしても、直接に火の粉が降りかかる患者は蚊帳の外だった。